残念ではありますがまた、災害が起こってしまいました。被災した人々や建物を見るにつけ、技術者としての自身の無力感に苛まれます。いち早く構造家の和田章先生の「耐震性向上を課題にしてきた者の一人として不甲斐無く思う。」のコメントに救われた思いもありました。事務局が建築観に大きく影響した阪神の震災(1995年)以降、3~4年の間隔で記憶に残る震災や水害が起こっています。その都度、私達技術者は意志を強くしていかなければと思います。
災害、特に震災時に家屋の被害には大きく「耐震性」と「劣化」(生物劣化)の2つの要因が挙げられます。阪神の震災後の議論でも多くは耐震性が主流で劣化の話はあまり論じられなかった様に思われます。建築基準法にも構造部材の耐久性や木材の品質。外壁の防腐などは完全に謳われているにも関わらず意識が薄れていくのは事務局だけでしょうか。
日本の建築文化は木材とそれの加工技術によって発展してきました。同時に木材の弱点でもあります「劣化」に注意をはらってきました。最近、私達はその意識が下がっているのかもしれません。その「劣化」を他人任せ(薬剤や建材等)にして、その根本の知識が少ないように思えてなりません。
今回にお越しいただく京都大学の藤井義久先生はご存じの方も多いかもしれませんが木材の物性はもとより劣化のメカニズムやその要因でもあります虫害や腐朽に関する研究では第一人者です。伝統構法の木材の劣化の特徴や対策。
木造の住まいの耐久性向上の対策等のお話をして頂こうと思っています。特に今回は伝統木造を実践する建築士、大工、工務店の方々には最適な講座になっています。
皆様には万障お繰合わせの上ご参加頂きますよう御案内申し上げます。
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