「木造」は日本が世界に冠たる文化です。それの最前線にいる聖徳太子が創建したとされる「法隆寺」は西暦600〜700年頃のものです。それから1300年後に「建築基準法」は発布され、告示が示す仕様規定を満たす事によって「安心・安全」が確保されると私達は考えがちです。1300年経つ奈良時代の建築が今尚60棟は残る。平安時代のものも同じぐらい現存する。鎌倉時代や室町時代からのものを合わせると1000棟もの建物が残っています。近世以降の400年のものであれば無数にある。地震国日本、そして高温多湿な我国においてこれまでの多くの長寿な木造が残っていること自体が世界に類をみない驚異的な事と思われます。この事実は我国が培ってきた木造技術の永い歴史からしか説明できません。今回、お越し頂く講師の堀内征弘氏は構造家の方です。構造家の中では珍しく大工技術や木材に精通し、木構造を解析する事を得意としています。先人達の伝統の享受の機会がなくなった今は、自分達が継承の最後の機会とお考えです。抽象的な木造ではなく、科学的な視点から木造を見通す機会として、今回の勉強会を予定させて頂きました。皆様も万障お繰合わせの上ご参加頂きますよう御案内申し上げます。
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